嫉妬に疲れた

 歩行者信号が赤だった。足を止めて、ふと周りを見回してみるとスマホを掲げている人がいた。そのスマホに写る、天高く澄んだ青。思わず上を見上げる。そこには、どこまでも青く、青い、空があった。


 私がスマホでよく起動するのはSNS。インスタを開いて、閉じて、1秒後に再びインスタを起動するほどのSNS中毒だ。

 そして、同時にSNSが苦手でもある。

 同世代がきらきらとした道を進んでいるのをまざまざと見せつけられるから。


 嫉妬に疲れる。


 いいねを押す気力もないほど嫉妬したときは、そっとミュートにする。


 私のこの嫉妬という感情はおそらく、人とは違う動きを見せている、かもしれない。


 その子が歩んでいる道を歩みたいわけじゃない。

  ただ、その子と仲良くなりたい。でも、なれない。きらきらした道を歩む子が、苔の生えた道をのろのろ歩む私なんぞと仲良くなるわけがないと思ってしまう。

 それに、事実、そうなんだろうと思う。


 だから、仲良くなれないから、その子を否定する。


 嫉妬と尊敬は似ている。

 どちらも自分にないものを持っている人に対し、憧れの気持ちを抱くところから始まると思う。


 仲良い子がきらきらした道を歩んでいるのを見ると、良かったねと思うし、尊敬する。モチベーションになる。私も頑張るぞ、と。


 でも、仲良くなりたいけど仲良くなれない子がきらきらしていたら。

 自分のおもちゃが手に入らない子供のように、本当はあんなおもちゃいらないもん、なんて否定する。

 妬む、嫉む。悔しい、むかつく。あの子の努力は知ってるけど、そんなに評価されることじゃなくないか? 、と。


 今日も一人、ミュートにした。SNSなんてものに縛られず、堂々と、のびのびと生きていたいのに。

 青空を見て、真っ先にインスタにあげようと思った自分は、自分じゃないような気がした。